後悔しない家づくりの心得
基礎コンクリート雨との関係性について
皆さんがマイホームを建てるとき、最初にコンクリートで土台の基礎をつくります。現場で型枠を組んで鉄筋を配置し、その後型枠内に生コンを流し込んで施工しますが、そんな時に雨が降ってきたらどうなるんだろう??など。。。もし自分が家を建てるとき大丈夫なのか否かが判断がつかず不安に思う事がたくさんあるかと思います。
今回は、コンクリートが固まる仕組みから、このような不安を少しでも減らせたらと思いました。参考になれば幸いです。
1.コンクリートが固まる仕組み
コンクリートの施工は、一般的に生コンがドロドロの状態で現場に運び込まれます。生コンは、コンクリート材料のセメントと水が「化学反応」する事で硬化します。コンクリートの材料である砂や砂利を繋ぎとめながら生成されて、どんどん強度を増していき、水和反応が終わるまで生成され続けます。生コンを打設してから大体28日くらいで100%の強度になるという事になります。
2. 基礎コンクリートが雨に濡れた時の影響
2-1. 土砂降り以外は「恵みの雨」になりうる
コンクリートは打設後、硬化が始まると乾燥が敵になります。打設後のコンクリートが乾燥した環境にあると表面から水分が取られて思うように強度が発現しません。ひどくなると表面にひび割れ等が発生してしまいます。
そこで、打設後のコンクリートの養生方法のひとつとして散水することがあります。これはコンクリートの表面を常に湿潤状態にして、コンクリートが水和反応をする環境を整える目的なのです。打設後のコンクリートにとって雨で湿潤状態になることは、初期の強度を発現する上で良い環境と言えるのではないでしょうか。
注意が必要なのは、コンクリートは練り混ぜてからだんだん硬くなり5~6時間後には形が変えられない状態にまでなります。形が変えられない状態になる前に表面を荒らすほどの強い雨が降った場合は、仕上げの出来栄えに問題が出るので要注意という事になります。
2-2. コンクリートにかけてあるシート類は雨対策ではなく養生
建設現場で、打設後のコンクリートにブルーシート等がかけてある光景をよく見ますが、これも雨対策で行っているのではないのです。
ブルーシートをかけて一定の湿度を保ち、コンクリートを正常に硬化させ、そして乾燥させない様にしているのです。
日射や気温によっては散水を行ったとしても、水がすぐに蒸発してしまって意味がなくなってしまう場合もありますので、そういった場合も考慮し、ブルーシートをかけていたりします。
3. 基礎コンクリートに雨が降っても問題ないケース
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①コンクリートを打設する前に雨が降って濡れている ➤ 問題ありません。
土工事の土汚れなどがきれいになって良いかもしれませんね。
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②コンクリートを打設して数時間後に雨が降った ➤ 問題ありません。
先程説明した内容にもありましたが散水して養生する場合もありますので恵みの雨です。
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③コンクリートを打設して数日後に基礎が雨で水浸し(プールの様に)になっている。
➤ 問題ありません。
コンクリートは水が浸透しにくい材料です。その為、夏場など非常に乾燥しやすい環境では散水では足らず、冠水養生というあえて水を溜めて乾燥を防ぐ養生方法もあるくらいです。
4. 基礎コンクリートに雨が降ると問題があるケース
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①コンクリートを打設中に雨が降ってきた ➤ 問題があります。
コンクリートは求められる強度を必ず出すためにセメントと水の割合を計算して配合しています。その為、コンクリートが硬化を始める前に水が足されるとその割合が崩れてしまうので、求めている強度が出ない場合があります。
しかし、コンクリート1㎥に配合される水の量は、150~200ℓ(リットル)と意外と大量で、少々の雨でしたら大丈夫な場合もあります。
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②土間コンクリートを仕上げている時に雨が降ってきた。 ➤ 問題があります。
コンクリートは打設後、施工した表面をコテでおさえてきれいに仕上げます。その時に雨が降ってしまうと表面が荒らされて仕上がりがきれいにならない問題が出ます。
5. まとめ
住宅を建てる際、施工している現場を見ていろいろな疑問や不安を抱えると思いますが、仕組みや意味を知ると安心できるのではないかと思います。以下のポイントを理解していると安心して基礎コンクリートの施工を見守る事ができるのではないでしょうか。
- コンクリートは、水とセメントの化学反応で強度が発現する。
- コンクリートにとって、乾燥は天敵。水分は味方。
- コンクリート打設中から表面が硬化するまでの時間以外では『恵みの雨』。
現場で少しでも疑問や不安を持った場合は、ぜひお気軽にお声かけいただくのが一番だと思っています。お話頂ける事で少しでも解消していけると幸いです。
2023年1月31日