スタッフ日記
室温を2度上げると健康寿命が4歳延びる Part2
前回、『住宅』が『健康』に与える影響について簡単にお伝えしましたが、タイトルの「室温を2度上げると健康寿命が4歳延びる」ことについて何ら根拠を示していませんでしたので、今回はより詳細にお伝えしたいと思います。
少し難しい内容になっていますが、とても大切な情報ですので、真剣にマイホーム建築をお考えの方にはぜひ頑張って読んで頂きたいと思います。
2018年11月、WHO(世界保健機関)が「冬の室内は18度以上」を強く勧告しました。
国際機関が健康の観点から住宅に触れたことは画期的なニュースといえます。
また、国土交通省が調査したところ、リビング→60%、寝室・脱衣所→90%の家が18度に達していなかったそうです。
(調査対象:冬季に平均年齢57歳の住居2,000戸)
『耐震』に関しては、世界に類を見ないほど厳しい基準がある一方で、経済大国といわれて久しい日本で『健康を守る家』に住んでいる人は、まだまだ少ないそうです。
寒さに関する法規制がないのも、先進国の中で日本くらいだそうです。
一方で厚生労働省は「健康日本21」*1において、国民の最高血圧の平均値を3~4㎜Hg低下させることを目標にしています。(対象:40~80代)
*1 国民の健康寿命を延ばすことを実現するための計画
しかしその対策はというと、生活習慣の改善ばかりで『住環境』の視点が入っていません。
全ての国民が『冬季に室温18度以上』を保てば、この目標数値を達成することは可能なのです。
そう言い切れる根拠をこれからご紹介したいと思います。
イギリスでは、『家の寒さと死亡率の関係』を数十年にわたり調査し、その結果を分析して公表しています。
この中で「室温が18度を下回ると循環器疾患、16度を下回ると感染症などの発症等のリスクが高まる」と指摘しています。
(この調査結果が根拠となり、↑のWHO勧告がなされました)
ちなみにイギリスでは、18度未満の賃貸住宅には解体命令が出るそうです( ゚Д゚)
日本では、2012年には交通事故の死亡者数が年々減少し続け4,500人を切ったのとは対照的に、住宅内で何らかの事故で死亡した人は3倍以上の1万5,000人に達しました。つまり、外にいる時より家にいる時の方が危険だということです。(厚生省の統計より)
更に、住宅内での死亡は、浴室内での溺死が40%。冬場の暖房のきいたリビングと廊下やトイレなどとの温度差は、戸建ての場合で平均15度。
ヒートショックにより心筋梗塞や脳梗塞を発症し死亡するケースも少なくありません。
また、慶応大学理工学部の研究チームが行った調査によると、夜中0時の時点で室温を18度以上に保つ家に住む人の高血圧の発病率を1とすると、18度未満の家に住む人達は6~7倍発症しやすいことが判明しました。(10年にわたりin高知県)
加齢、肥満、喫煙、塩分摂取による発病率と比較しても、家が寒い場合の方が発症確率
が高かったのです( ゚Д゚)
私ども設計工房イズムが、高気密・高断熱にこだわる理由がここにあります!
今回は「室温、室温」と言ってきましたが、大切なのは体感温度です。この体感温度に多大な影響を与える『湿度』の重要性について次回はお話しようと思います。
どうぞ、お楽しみに♪
◆参考文献:週刊文春『温かい家は寿命を延ばす』 / 週刊新潮 2020年2月1日号
◆参考資料:建築再⽣展2019 住宅リフォーム推進協議会セミナー資料
2020年2月10日