地熱活用住宅とは
地熱の源は、太陽エネルギー
冬の地中温度は夏に蓄えたものを、夏の地中温度は冬に冷えたものを…
「地熱活用住宅」でいうところの「地熱」は、太陽熱エネルギーが地中に蓄えられた熱です。
夏の高温での日射熱は地中に蓄えられ、夏の終わり頃には、床下の地中温度はだんだん上がってきます。
夏に蓄えた温度を冬になって利用するのです。
地熱は初春くらいまでは保たれていることが分かっています。
夏は、全くその逆で、冬に徐々に冷えてきた地中温度を夏に利用するのです。
安定した温度:目指すは「地下5m」
日本は夏暑く、冬寒いという気候条件ですが、「地下5m」では半年前の気温と等しく安定した温度ながら夏冬が逆転しているという研究結果が出ています。
これは土の蓄熱量が大きいために地中深くに熱が届くのが遅れるからです。洞窟や井戸水が冬に暖かく、夏に冷たいのもこのためです。
「太陽エネルギー」と「大地の恵み」上手く利用できれば、力任せに冷暖房器具を使用しなくても一年中快適な家を造ることが出来ます。
【採暖】と【暖房】の違い
【採暖】・・・部分的に暖を採ること。寒い部屋の中で、コタツや石油ストーブなどを利用しそこだけを温かくすること。温暖多湿地域の住宅では、部屋の中で部分部分の温度差が激しくなってしまう。
【暖房】・・・房(部屋全体の意味)を暖かくすること。家の中に「寒さ」を持ち込まない、「暖」を逃がさない。寒冷地域の住宅は、部屋全体が均一な温度を保つために「高気密・高断熱」が必要になる。全館暖房。
基礎も外断熱:床下も「室内」と考えています。
一般の住宅は、床下換気口があり冬になれば外気がそのまま入るので、床下の温度が下がり、床が冷たくなってしまいます。
地熱住宅では、建物下の地熱を冷やさずに室内に取り入れるため、床下も部屋の空間と考えており基礎も外断熱を施工します。
当然、普通の床下換気口はありません。というより、必要ないのです。
「床下」や「屋根裏」、「壁の中」でさえ、部屋の1部と考えていますから、部屋と一体となった「エコシステム」独自の計画換気が行われており、湿気がこもるなどの心配も一切ありません。
徹底的な「高気密・高断熱」:外気温に左右されない
外気の影響を受けずに、地熱を利用しての室内温熱環境を実現するため、「外断熱」かつ「高気密」にしなければなりません。
当然、基礎の土中に埋まっている部分まで断熱いたします。
また断熱に弱い窓などの開口部は、断熱サッシや二重サッシにする必要があります。
地熱利用の効果
これは、冬の間暖房しないで生活された方の室内温度測定記録です。
日中は、太陽の光が家の中に入るので、そういう意味では熱源はゼロではありません。
自然エネルギーだけを利用しても、床下の基礎表面温度は15℃前後です。
外気温に比べて温度が低下していない事が分かります。
これが地熱利用の効果です。
(これは、千葉県のデーターですので、宮崎では温度の上昇が予想されます)
しかし、残念な事ですが、この効果は土地の条件によって変ります。
日当たりが良いか悪いかによって変化するのです。
上のグラフを測定して頂いたI邸は、日当たりが良い方でした。
ですから暖房を全く使用しなくても生活できたのです。
ところが、日当たりの悪い場所では「補助暖房」が必要になります。
冬の間、だいたい20℃の温度設定でエアコンまたは蓄熱式暖房機(深夜電力利用)を使用しています。
(夏に関しましては、冷やす方ですから日当たりは関係ありません)
24時間も暖房機を動かしたら大変な電気代がかかるのでは??
と心配になられますよね。
確かに冷暖房機に電気代はかかります。
冬場はエアコンの暖房運転、夏場はエアコンの除湿運転で、24時間稼動して頂くのが望ましいのです。
しかし、安心して下さい!
高断熱(外断熱)・高気密住宅では、想像しているほどの電気代はかかりません。
実際に、地熱住宅のお住まいの方の電気使用量をご覧下さい。
地熱住宅の消費電力量
冷暖房にかかる消費電力を正確に測定するため、エアコン(冷暖房)用に専用の電気メーターを設置させて頂き測定した結果です。
年間の消費電力は「1560,1kwh」です。
電気料換算すると、1年間で34,322円程度です。(1kwh=22円での計算)
夏と冬にエアコンを24時間稼動しつづけ、それで家全体(居間だけではないですよ!)をほぼ同じ温度にする(全館冷暖房と同じです)ための冷暖房費用は、年間でたった3万五千円程度(1ヵ月3千円弱)です。
※日当たりの良い土地でしたら、もっと暖房費が削減できますね。これが「地熱活用住宅」です。
※これはエアコン使用時のデータですので、冬に乾燥せず自然な空気環境に整えてくれる蓄熱暖房機を使用しますと、もう少し高くなると予想されます。